スメタナの作曲した連作交響詩「我が祖国」の一曲目がヴィシェフラド。コンサートのプログラムには高い城、なんて訳してあったりもするけれど、ともかくプラハの中心部からヴルタヴァ川のちょっと上流へ行ったところにある岩山。プラハの未来の繁栄を予言したという伝説の王女、リブシェが住んでいたと言われる伝説と神話の場所だ。
トラムの17番に乗ってヴルタヴァ川岸を南へ。すぐに前方に尖塔を持つ教会を上に乗せた岩山が見えてくる。小高い丘なので当然登りがあるが、ちょっと汗ばむ程度の登りの後に、ここの城壁から見る橋のかかるヴルタヴァ川と遠く眺めるプラハ城の眺めは格別だ。リブシェ王女の沐浴場と呼ばれる石の廃墟が切り立った崖ににへばりつくように残っている。静かに流れるヴルタヴァを背景に眺めると一瞬のうちに遠い過去に引き戻されるような感覚がしてきた。
丘の上はその他にネオゴシック様式の「聖ペテロと聖パウロ」教会という美しい教会やスメタナやドヴォジャーク(Dvorva'k,
ドヴォルザークって小学校だか中学校の頃は習ったよね)、アルフォンス・ミュンシャ他、チェコ文化を代表した人々も埋葬されている墓地、静かな時間が流れる青々した芝生がきれいな公園があり、賑やかなプラハの市街からちょっとこちらに来てみるとなんだか本当にぼーっとしていてもいい気分になる。プラハの公園の芝生ってどこもとてもきれいだと思うけれど、ここのもそう。のんびりベンチに座っていると、子供を連れた家族やジョギングをしている人、犬の散歩をしている人、どこをどう登ってきたのか自転車に乗っている人、いろいろいて平和だなあと思う。そして芝生の中には19世紀の彫刻家であるミスルベクによる大きな彫像が4つたっていた。しばらくの間私はそれらの像を眺めながら傾いていく陽の光を受けながらぼーっとしていた。