ヴルタヴァ川から見上げるプラハ城の姿は素敵だが、実際に丘を登って訪れてみると、プラハ城のあたりは観光客の密度がぐっと高まる。なにしろプラハを訪れるツアーや個人旅行客でプラハ城を外すことなど有りえないだろうから。その上、城壁に囲まれたごく狭い範囲に集まるのだから、内部が公開されない月曜日以外は、間断なく観光客で賑わっているという感じだ。それに加え、特に最初に訪れたときにはちょうどルドルフ2世展なんてやっていていくつかある展示場の前はものすごい長蛇の列で大変(私も見ようかなぁ、と思ったのだけどあの列を見た途端あきらめちゃった。)
プラハ城に行くのだったらマロストランスケ・ナーミィエスティからネルドヴァの坂道をずっと登っていくのが最初はいいと思う。けっこう長い坂道だけど、いろんなお店が並んでいて別に買い物する気はなくても飽きずに登っていける。でも2回目以降はやっぱり疲れるので、ぐるっと丘の後ろ側にまわりこみながら登っていくトラムの22番に乗って王宮庭園の方にある門から入ってしまうことがほとんど。ともかく現在は大統領官邸になっている建物を抜けると、目の前にヴィート大聖堂の高いゴシックの一対の西塔を見上げることになる。これほど迫力というものを感じさせられる聖堂はそうは多くない、と思う。ケルンの大聖堂は列車で通過してしまったので、離れたところから一瞬見ただけだし。
ともかく先ずは聖ヴィート大聖堂。内部もかなりの空間がある。人であふれているけれども、その大人数の話し声がどこかへ静かに吸いこまれ、また静かに反響しているというような、ヨーロッパの大きな教会でよく経験する不思議な感覚がすぐ呼び戻される。天井を見上げると、リブ・ヴォールトの規則正しい、シンプルな美しさを持つ模様が、このゴシック建築の巨大な傑作を意識させてくれる。ステンドグラスも印象的な絵になっているのがいくつかあるし。実は「プラハの秋」音楽祭で今年はメータのイスラエル・フィルがここでマーラーの復活をやったのらしいのだけど、どんな響きがするのかな。残念ながら南ボヘミアへ行っていたので、このコンサートは聞けなかった。時折、教会でパイプオルガンのリサイタルをしているのを聴くことはあるけれど、オケがこういう空間で演奏したら、どうなんだろうなあ。結局今回もこのことについては先に持ち越しになってしまった。
プラハ城内にはさらに奥へ進むと王宮とか聖イジー修道院とかあって、しばらく前までは美術館として機能してたところもあるのだけど、今は新しいナショナルギャラリーに移転を進めてる(一部はもう公開してるけどね)最中らしく、大聖堂がここを訪れる一番の目的みたいになってしまった。内部をのんびり見てまわって、あと疲れるけれど300段近い階段を上って(けっこうきつい!!)
尖塔からプラハの街並みを見られたらもう満足、という感じかな。
Photo: Chra'm
SV. Vi'ta, Sep/97 by Ho-Ho
(聖ヴィート大聖堂)