バルトへの旅Visting Baltic Countries



4.リガに降り立った日

朝は、それでも少々早めに目がさめる。朝食はのんびりとり、手早く荷物をまとめると、再び中央駅前のバス停へ。ちょうど、SASの空港へのシャトルバスが出るところだったので市内バスよりちょっと高いがそれに乗る。また、昨日来たばかりの道を戻ることになる。

air craft to Riga
この飛行機でリガに向かう
空港に着いてチェックイン。窓口の人に「ヴィザはリガの空港で買うのね?」と確認される。そうだ、ラトビアは一応ヴィザが必要なんだっけね。出国手続きをして出発ロビーへ。まだ出発まで2時間も時間がある。しかし、まだリガ行きの私の飛行機の出発ゲートは決まっていないようだ。軽食スタンドでコーヒー飲んでると、空はいつのまにか真っ暗でものすごい雨になっていた。さっきまでいい天気だったのに。1時間前になっても出発ゲートが決まらなかったのは、どうやらこの雨のために向こうからやってくる飛行機が遅れたためらしい。ほとんど同じ時間に離陸予定のタリン行きもヴィリニュス行きも"On Bording"の表示なのにどうしちゃったのかしら、とちょっと心配しちゃった。

Copenhagen to Riga結局、飛行機は定刻より30分くらい遅れて11時前くらいに離陸。1時間ちょっとのフライトだが、コペンハーゲンとは1時間時差があるため、昨日戻した時計を1時間だけ進めることになる。海を越えた飛行機はあっという間にリガ国際空港に到着した。なんとなく予想はしていたが、小さな飛行機が数えるほどしかいない、小さな空港だった。天気は曇り。タラップを降り、バスに乗るとすぐ建物の前に着く。ここで、書類に必要事項を書いてヴィザを買う。うーんと、22ドルだったかな(もう記憶に定かじゃない)。泊まるのはどこか?とだけ聞かれたが、まだ決めてないと答えるとうなずいてヴィザを発行してくれた。パスポートに貼られたラトビアのヴィザはシンプルで美しいものだった。その後の入国手続きは他の西欧の手続きと同様に簡単。あっという間に、人がまばらにしかいない到着ロビーにたどりついてしまった。

あまりにのんびりした空気と時間が流れる空港で、とっさに次にどこに行かなくてはならないのか分からなくなりそうになる。はじっこにある両替所らしきところで、いくらかラトビア・ラッツ(Ls)に両替をする。1Ls=$1.9ほどであった。そう、ここでは1Lsってけっこうな価値があるのである。ほんとは、50とか100とかなんと500Ls紙幣があるらしいのだが、結局拝むことはできなかった。(あってもどう使うのか困ってしまうよね。)空港の外には市街へ行く黄色のバスが来ていた。新しい国に来たばかりの時には、どうもその国の通貨に慣れてないというか、どのくらいお金がかかるのか感覚としてつかめないことが多いのだけど、このバスの切符を買うときに戸惑ってしまった。運転手は英語が分からないみたいだし、運転手の言う数字ははたしてラトビア語なのか、ロシア語なのかも早口で分からなかった。お釣りでもらおうと出した2Ls硬貨だしたが、どうもそんな大きなお金じゃだめだというそぶりをされて初めて、そうかここの1Lsって大きいんだな、と気がついたような感じ。

バスの切符は0.14Lsだった。運転手席のあたりを見ると、"MADE IN HUNGARY"とあり、そういえば、以前ブダペストでよくお世話になったバスもこんな感じのやつだったなあと懐かしい気分になる。バスは、林と郊外の住宅地を抜けてリガ市街に向かっていた。


スは20分くらい走っただろうか、急にトラムも走り、交通量の多い通りに出た。そのまままっすぐ行くと大きな川に出くわす。そう、これがリガの風景の一部となっているダウガワ川(Daugava)だった。川の向こうには教会の尖塔が2つ、3つと見えてくる。おぉ、やってきたんだなとうれしい気分になる。橋を渡り、川に沿って右に折れ、そしてまたすぐ左に折れるとバス停だった。 さあ、まずは宿を探そう。リガは、やはりバルト随一の都会である。駅前には人があふれ交通量もそれなりに多かった。リガの旧市街は先程渡ってきたダウガワ川と鉄道の駅のあたりを流れるピルセータス運河(小川だと思ってたが地図を見たら運河だって書いてある)とに挟まれたあたり。その真ん中にあるRadi un Draugiという名のホテルに身を落ち着ける。部屋は新しかった。一泊20Ls。まあ安宿は他にいろいろあるみたいだが、このロケーションでけちけちすることもないか。このクラスの宿なら泊まって疲れることもないし、むしろ快適だった。

Freedom Monument
自由記念碑。新市街と旧市街の境にあるこの碑は1935年につくられた。
荷物をほどくと早速、まずは土地勘をつかむために旧市街を歩き回った。大きな通り、小さな路地、そして教会前の広場等々。天気も良かったが、人々の表情もこころなしか生き生きしているような気がする。そして旧ソ連の痕跡などどこにも見つからない。よく探せば何かあるのかもしれないが、ロシア語の看板からして皆無だった。落ち着いているが、すっきりとしていて気持ちのいい街。これが、僕のリガに対する第一印象だった。ドイツの街みたいに広場にはビールスタンドもあり、昼間からおいしいビールを飲むことができる。以前、ドイツ行ったときにはよくやったよな。ビール一杯飲みながら絵葉書書いたの。特にアルコールには弱くないからできるのだけど、それでも気分良くなってちょっとロマンティストになったような文章を女性に書いちゃうんだからなあ。早速、絵葉書を買ってきて、一休みしながら家と知合い宛に何枚か書く。はがきは、日本まで1枚0.2Lsだった。郵便局で出てきたおばさんはちょっと無愛想で怖かったが。

DOME SQUARE
DOMA広場。カフェが広場にテーブルを持ち出す光景は西欧と同じだった。遠くに見える尖塔は聖ペテロ教会。
この日は月曜日だったため、数ある教会は内部公開してくれず翌日に持ち越しとなった。まだ8月の下旬では日が沈むのもかなり遅い。だが、昼間のうちはあれだけ通りにあふれていた人々もお店が多い広場等を除いてばったりいなくなってしまう。石畳の旧市街の通りに急に人通りがとだえる様はものすごく寂しい気になってくる。皆、普通は家庭に戻ってしまうからだろうか。さあ、こちらも取り敢えず夕食の場所を探すことにしよう。

(つづく)




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