山と森と川と . . . ドイツ・オーストリア・ハンガリー紀行
----- 1992年、二度目のヨーロッパ歩き


グロースグロックナーとパステルツェ氷河

フランツ・ヨーゼフス・ヘーエとグロースグロックナー山岳道路
翌朝、ハイリゲンブルートからバスで30分ほどのフランツ・ヨーゼフス・ヘーエまで出かける。山道をヘアピンカーブの連続でどんどん登った先、標高2,300メートル余の展望台からは、パステルツェ氷河の一番向こう側にオーストリア最高峰のグロースグロックナー(3,797m)が見える。

天気は良かったけれど、とにかく寒かった。風も恐ろしく冷たく、猛烈に吹いていたので体感温度は氷点下をゆうに下回っていただろう。氷河の上のロープが張ってあるところまで歩いて降りて行ってみたけれど、白い氷河の上を、冷たい風に表面の雪が飛ばされていた。冷たい美しさ。いくら何でも長居をできるところではなかった。

ハイリゲンブルートでバスに乗るときたまたま一緒だった日本人の女性とこの日は一緒。久しぶりに日本語をだいぶ話したような気がしたなぁ。

峠を越えて、ツェル・アム・ゼーの近くまで南北に貫く山岳道路の景観はもの凄かった。それは美しいなんて生やさしい言葉ではすまされない、人間って本当に小さいんだなと実感させられるような、荒々しいというか、粗野な感じのする雪と峰々の景色は、この後さらに訪れるオーストリアの素敵な町の光景がとても平和で愛らしかっただけにいっそう印象に残っている。ハイリゲンブルートで泊まったペンションからは未だに毎年、ダイレクトメールが来るのだけど、この風景ももう一度見に行きたいものだ。


フランツ・ヨーゼフス・ヘーエからハイリゲンブルート方面を振り返る