山と森と川と . . . ドイツ・オーストリア・ハンガリー紀行
----- 1992年、二度目のヨーロッパ歩き


マリア・テレジアン・シュトラッセのアンナ記念塔 雪をかぶった山々とインスブルック駅


インスブルック、チロルの都を散歩する
翌朝は、やや天気は持ち直す。ミッテンヴァルトの駅から列車に乗ってすぐオーストリア国境だ。車内での簡単なパスポート・コントロールだけで国境越えは終わる。ここからインスブルックまでの車窓はまた素晴らしい。特に右側の車窓の視界が開けて、はるか下を流れるイン川と、緑の中に点在する村を見渡せる風景など、思わず息を飲んでしまうくらいだ。1時間弱ほどで、列車はインスブルックの中央駅に到着した。

インスブルックはチロル地方の中心地。南に行けばブレンナー峠、すぐ北はドイツ。そして東西はスイス方面とウイーンを結ぶ幹線が結ぶ交通の要所として、単なる中心地以上に重要な位置にある町だ。そして私にはほとんど記憶のないのだが、冬季オリンピックが2度行われた町でもある。

実を言うと、オーストリア最高峰のグロースグロックナーを見に行くため、その南の玄関口であるリエンツへ向かうための乗り換え地として私はインスブルックまで来たのだけど、せっかくなので荷物を預け、インスブルックの町をぶらぶら歩いてみた。

駅も旅行者で賑やかだったけれど、町の中も同じように賑やか。駅前をまっすぐ行くと小さな凱旋門があり、右へ折れると旧市街へと続くマリアテレジアン通りだ。両側には同じくらいの高さの建物が並び、数多くのお店が並んでいる。チロルの都会らしいにぎわいが、また楽しい。そのまま歩いて旧市街に入る。色とりどりの中層の建物が並んできれいだ。石造りのアーケードの下を商店のショーウインドウを眺めながらぶらぶらしているうちに時間が過ぎる。王宮や、大聖堂を抜けると白濁したイン川の流れが目の前に現れる。下流のパッサウで見たイン川と比べたらずっと流れも激しく、見ただけなのに冷たくヒヤッとするような雰囲気の流れだ。

イン川と旧市街の家々と、その向こうのオーストリア・アルプスを眺めているうちに時間になってしまったようだ。駅に戻ることにしよう。


チロル地方