山と森と川と . . . ドイツ・オーストリア・ハンガリー紀行
----- 1992年、二度目のヨーロッパ歩き


ミッテンバルトの教会 フレスコ画が描かれた家


ミッテンヴァルト、ヴァイオリンとフレスコ画とアルプスの国境の町
ドナウ川沿いにオーストリアとの国境までやってきて次の行き先がオーストリアならばそのまま国境超えてしまえばいいのだけど、昨年のスイスアルプスの素晴らしい景色も忘れられない私は、今年もアルプス行きを企てた。その上同じ国境越えをするのにしてもミュンヘンからガルミッシュ・パルテンキルヒェン、そしてミッテンヴァルトを経由してインスブルックへ抜ける鉄道のルートは車窓もとても素晴らしいというので、迷わずこれを選択したわけだ。パッサウからミュンヘンまで約2時間、ミュンヘンから大きなリュックを背負った家族連れやら若者たちとともにローカル線でミッテンヴァルトまでおよそ1時間45分ほど。しかし、せっかくの山行きだというのに空は厚い雲に覆われ、冷たい雨が降り出してきた。両側にせまってくるはずの山々も上の方は残念ながら雲の中だ。でもオーストリアに近いこの地方、検札にやってくる車掌さんの挨拶が「グーテン・ターク」でなく、「グリュス・ゴット」に変わる。なんとなく優しく響く言葉だ。

ミッテンヴァルトの駅のすぐ背後にごつごつした岩山であるカーヴェンデル山がすぐ迫って見える。天気が悪いので展望台まで行くのはやめて町をのんびり歩く。ミッテンヴァルトはドイツ・アルプスに抱かれた小さな町というだけでなく、通りの家々にはカラフルだが宗教的なフレスコ画がたくさん描かれているし、またヴァイオリンづくりで名高いこともあり、窓辺にヴァイオリンの胴がおかれていたりする家も見かけたりして雰囲気のとても良い、静かな町だった。

翌日は良い天気になるだろうか。


ドイツ南部