ラウターブルンネンの駅前のホテルに宿をとる。部屋ははなれだったがスイスにしては安く、また一階がレストランだったから晩飯のために、まだやっぱり一人じゃ入りにくいレストランを探す必要もないので、落ち着いた気分で毎日を過ごせそうである。
宿をとった後、駅のすぐ前にあるケーブルカーの乗り場からグリュッチュアルプへ。さらに鉄道に乗ってミューレンの町というか村にやってくる。天気が良くて風も気持ちがいい。ラウターブルンネンは谷底にあるが、ここは谷の上(正確に言うと中腹)にあるので、なんとなく明るく感じる。午後もかなり時間がまわっていたけれど、ミューレンの集落の中の道を通り抜けてシルトホルン(2,970m)へ行くロープウェイに乗る。最初は緑の草地の上を、さらにはただ乾いた茶色の山の上を数分行くと目的地のシルトホルンに到着する。
回転レストランがあるが(映画「女王陛下の007」のロケで使われた「ピッツグロリア」ってどのガイドブックにも書いてあるよね)、それは外から眺めるだけ。とにかく展望台から谷のむこう側に見えるアイガー、メンヒ、ユングフラウの三峰をゆっくりと眺める。山容が谷底からずっとせりあがってくるように見えるので、翌日訪れるクライネシャイデックからの美しい山並みとは違って、野生味あふれる迫力がある。西日を受けた岩山とその麓の緑とが好対照だった。そして青い空も。
それにしても「左からアイガー、メンヒ、ユングフラウ」って、まあこちら側から見たら左からなのだけど、まるでなんかの法則みたいにすぐ覚えられる。こうして実際に峰々を眺めながらあれはなんて山だっけというのもちょっと悲しいけど、やっぱり地図で見るのよりはすぐどれがなんて山か分かるようになるなあ、とちょっと自分で感心したりする。でも、まあそれぞれ特徴のある有名な山々だから、当然かもしれないけれど。