ツェルマットから再び鉄道に乗って次の目的地は、アイガー、メンヒ、ユングフラウという3峰を始め、4,000m級の山々を間近にのぞめるベルナーオーバーラント地方である。表玄関はアルペンリゾートのインターラーケン(Interlaken)、山岳鉄道で二つの谷を登った一方が日本人に何故か有名なグリンデルヴァルト(Grindelwald)、もう一方がラウターブルンネン(Lauterbrunnen)である。スイスの鉄道などでは手軽に荷物を別送してくれるシステムがあり、朝、ツェルマットの駅を出るときに行き先の駅を切符を見せて言うと小額の費用で送ってくれる。そろそろいらない荷物をいっぱい持ってきてしまったなあという気分になってきていた私は、喜んでこのサービスを利用してみる。行き先のラウターブルンネン、という地名が駅の人になかなか通じなかったなあ。発音が悪かったみたい。
ツェルマットから、数日前登ってきた路線を元に戻る。ブリーク(Brig)まで行ってからスイスの首都、ベルン方面へ抜けるスイス国鉄の列車に乗りかえる。列車が発車するのを待っていたら、たまたま後から来た日本人の女性と乗り合わせた。デュッセルドルフのおすし屋さんで働いているという彼女と話しているうちにも、トンネルが多いベルナーアルプスの中を列車は進む。どうもスイスに入ってから日本語しゃべる機会が増えた気がするなあ。まあそれだけ日本人が、このスイスアルプスの魅力に惹かれて訪れているからとも言えるのだけど。とは言え、個人旅行同士が出会っておしゃべりできるのも旅のひとこまかな。それがむこうの人、ということもあるけれど、あまり欧米の人が一人だけで旅行してるって見掛けないんだよなあ。アジアとかではいるのに。
シュピーツ(Spiez)で再度乗り換え。今度は美しい湖を左側にみながら10分くらいでインターラーケンに到着。ここからユングフラウ方面への山岳鉄道に乗るのだが、ちょっと時間がうまくあわなかったので、特に周りに何もないオスト(東)駅でぶらぶらと時間をつぶしたのだった。間違えて、止まっていた車庫行きらしい客車に乗ってしまったら(だってあいてるんだもの)車掌さんかなあ、けっこう恐い顔で怒られた。
列車は前の方が私の取り敢えずの目的地のラウターブルンネン方面、後方がグリンデルヴァルト方面の客車になっていて、途中の駅で切り離される。白いしぶきをあげる渓流を見ながら20分強でラウターブルンネンである。